元手が少なくても利益が大きいと人気のレバレッジ取引。しかし投資を始めたばかりに人には「よくわからない」と思っている人も多いのではないでしょうか。
レバレッジとはそもそもどういうものなのか、初心者の人にもわかりやすく解説します。
レバレッジとは
レバレッジとレバレッジ取引について解説します。
レバレッジ=てこ
レバレッジ(leverage)という言葉には元々「てこ」「影響力」という意味があります。
“てこの力、てこ装置、(目的達成のための)効力、影響力、借入資本利用
Weblio英和辞典・和英辞典より引用”
レバレッジ自体は金融以外でも使われる用語ですが、金融取引におけるレバレッジとは、「自己資本(証拠金)をFX会社に預けて自己資本よりも大きな金額の取引を行うこと」を指します。
本来の資金力よりも大きな取引ができるという点が「てこの原理」に例えられるため、レバレッジと呼ばれています。
レバレッジ取引と信用取引の違い
自己資本にレバレッジをかけて行う取引(以降「レバレッジ取引」)と似た意味で使われる言葉に「信用取引」という言葉があります。
信用取引とは、証拠金を担保にして会社からお金を借りてそのお金で取引を行うことです。
厳密には違うものを指す言葉ですが、信用取引ではレバレッジをかけて取引を行うことが一般的であるため、ほぼ同じ場面で使われています。
信用取引の対義語として、会社からお金を借りずに自己資本だけで取引を行うことを「現物取引」と呼びます。
レバレッジ取引とFXの違い
FXもレバレッジ取引と似た場面で使われる言葉です。ほぼ同義で使われることがありますが、実際は全くの別物です。
FXとは「外国為替取引(Foreign Exchange)」のことです。外国為替取引では証拠金を用いた取引が一般的であるため、最近は「外国証拠金取引」のことを示すようになっています。
証拠金を用いた取引とは即ち、レバレッジをかけた取引です。そのため特に市場の歴史が浅い暗号資産(仮想通貨)においては「レバレッジをかけた暗号資産の取引」を「暗号資産FX」と呼ぶことも少なくありません。
固定とカスタムがある
会社によって、かけられるレバレッジ倍率が固定されている場合と、いくつかの倍率から選択できる場合があります。
例えば楽天FXの「レバレッジコース」では、コースによって「1、2、5、10、25」のいずれかのレバレッジ倍率を選択できます。
実効レバレッジとは
レバレッジには「実効レバレッジ」という考え方があります。実行レバレッジとは「実際に証拠金に対してどれくらいの比率で取引を行っているか」という数字です。
たとえばレバレッジ25倍で取引可能な口座を持っているとしましょう。この口座を使って、以下の条件で取引をしてみます。
・証拠金 10,000円
・レバレッジ倍率 25倍
・取引金額 100,000円
このときの「実効レバレッジ」は100,000÷10,000円 =10倍です。
取引可能なレバレッジ倍率が高くても、必ずそのレバレッジ倍率で取引をしなければならないというわけではありません。実効レバレッジを抑えて取引をすることで、自分自身でリスクをコントロールすることができるのです。
具体例
では具体的に、レバレッジ1倍と25倍でどのような差が出るのか比較して見ます。
・自己資金 10,000円
・取引銘柄 米ドル円(USD/JPY)
・レート 1USD=100円
1倍のとき
証拠金が10,000円なので、取引も10,000円分までしかできません。
1USD=100円ですから、購入可能な米ドルは100USDです。
25倍のとき
証拠金10,000円に25倍のレバレッジがかかるので、250,000円までの取引が可能です。
1USD=100円の場合、購入可能な米ドルは2,500USDが上限となります。
メリットとデメリット
レバレッジ取引のメリットとデメリットについて解説します。
メリット
・少ない元手で大きな利益を期待できる
・下落相場でも利益を出せる
少ない元手で大きな利益を期待できる
レバレッジ取引の一番のメリットといえばこれでしょう。
具体例でも挙げた通り、同じ10,000円でもレバレッジをかけた場合とかけない場合では取引できる金額が全く違います。
そのため少しの値動きであっても利益になりやすくなります。
またFXでは最低取引数量が1,000通貨や10,000通貨に設定されています。
10,000通貨とは、円であれば10,000円、ドルであれば10,000USDです。つまり日本円でドルを購入しようとした場合、10,000USD(約1,270,000円)が必要となります。
レバレッジがないと現金で用意しなければなりませんが、レバレッジ25倍をかけて取引するのであれば50,000円程度で10,000通貨を購入することができます。
下落相場でも利益を出せる
レバレッジ取引は、買いから入る必要がありません。
そのため下落相場で売りから入り、売り注文の金額から下がったところで買い注文(決裁注文)を入れて差額を利益として受け取ることができます。
デメリット
・損失が膨らみやすい
・リスク管理が面倒
損失が膨らみやすい
レバレッジをかけると大きな利益を期待できる反面、損失も膨らみやすくなります。
レバレッジ倍率が高いほど損失は一気にひろがるので、仕事が手につかなくなるなど私生活への悪影響が出る人も少なくありません。
負債を抱える可能性がある
現物取引であれば損失が出ても投資した金額がゼロになるだけで済みますが、レバレッジ取引の場合は追証(追加証拠金)など負債を抱えることもあります。
リスク管理が面倒
証拠金維持率やロスカットなど、レバレッジ取引では計算しなければならないものが多くあります。
リスク管理のために重要なものですが、理解が浅かったり誤っていたりすると思わぬ損失を被ることにつながります。
おすすめレバレッジ倍率
レバレッジ倍率に初めて挑戦する人は、まずは2倍や5倍など、低めの倍率でスタートすることをお勧めします。
前述のとおり、レバレッジ取引には現物取引にはないルールが多数存在します。それらの理解を深めるためには実践が一番ですが、高い倍率で始めるとよくわからないうちにロスカットされることもありえます。
損失が出ても「勉強代」として納得できるくらいの金額と倍率でスタートして、慣れてきたら徐々に倍率を上げていきましょう。
各社のレバレッジ倍率
国内と海外では、レバレッジ倍率の上限が異なります。
【FX】国内は上限25倍、海外は制限なし
国内FX会社のレバレッジ倍率の上限は25倍となっています。
これは法令により定められているもののため、もし25倍を超える倍率でサービスを提供すると違法業者ということになります。
海外FX業者については日本の法律が適用されないので、25倍を超えるハイレバレッジでの取引が可能です。
1,000倍を超える業者も複数あり、実質倍率無制限というところもあります。リスクは非常に高いので、経験の浅い人が利用することはおすすめできません。
【仮想通貨】国内は2倍固定、海外は制限なし
仮想通貨のレバレッジ取引については、国内の業者では2倍に制限されています。仮想通貨は値動きが激しいため、FXよりも低いレバレッジに抑えられています。
いっぽう海外取引所については、FX同様制限がありません。しかしFXに比べると倍率は低く、最も高い業者でも1,000倍程度です。
まとめ
レバレッジを理解することはFX投資を行う上での第1歩といえます。
高レバレッジになるほど利益が増えやすいため魅力的に感じられますが、そのぶん損失も大きくなりやすいということを理解することが重要です。
欲張らず冷静な取引ができるよう、まずは低いレバレッジから取引に挑戦してみましょう。